大阪保健医療大学 医療情報学2009(保健医療学部作業療法学専攻)

授業のキーワード、課題など掲載していきます。




1回目:情報学(1)情報の表現と処理について
一般にデータ・情報・知識をまとめて情報と呼ぶ事が多い
 ・データ・・・ある対象を測定・観察し得られた定量的または定性的属性
 ・情報・・・・データに意味を付与したもの(他の情報・データ・知識との関係を明らかにしたもの)
 ・知識・・・・情報を組織化、体系化したもの(専門職の知性が必要であり電算機の限界である)
   (ネットや他の人から知識のコピー≠自分の知識)
下図のような関係
情報・データ・知識の関係

時間のある人は下記のサイト読んでみてください
テキストに知性があるかないかを見分ける10のポイント(ハックルベリーに会いに行く)


・データの収集・・・アンケート
授業中実施のアンケート結果
回答(ほぼ原文まま。誤字もそのままにしてます)
Q1.私は誰に似ている?
 エビス 格闘家の人、ジャムおじさん 桜庭(K-1ファイター) さくらば 知人のお父さん [空白] 芸人のキング・オブ・コメディの人 わかりません キングオブコメディ(芸人)ネタ→〜みたいな 花田勝 プロゴルファーの理子さん(石田純一の婚約者)の父親(野球かんとく?) 思い浮かばないです [空白] 格闘家の人
Q2.私は何歳に見える?
 38 36 43 30歳ぐらい 37 37 38 35 35 42 37 30 37 37

Q3.「医療情報」と聞いて思い浮かべる言葉は?
 医療に関するニュースや専門的用語 カルテ カルテ カルテ 共有 じけん・じこ カルテ カルテ、カンファレンス、調査 カルテ ネットワーク 患者さんのカルテの取り扱い方(電子カルテ)、情報の保護(個人情報の取り扱い方) 病院のカルテとか、守秘義務とか 情報 カルテとか


・情報量の単位・・・bit
 AなのかAじゃないのか?明確に指定できる情報・・・1bit
 選択肢の数(確率)によって情報の量が決まる
1と0の情報の組み合わせであらゆるデータを取り扱っている
8bit=1byte
1Kbyte=1024Byte≒1000Byte


2回目:情報学(2) ネットワーク技術について
・ネットワークとは・・・繋がり(ノードとエッジの関係)
 ・コンピュータ・ネットワーク・・・ケーブルの中を情報(bit)が流れている。
 ・パケットの流れる速さ bps(bit per second)
・インターネット・・・ネットワークとネットワークが繋がって形成
 プロトコル(規約)・・・TCP/IP
 様々なサービス・・・WWW メール 等
 故障に強いが、攻撃には弱い
 インターネットの世界は公共の場 → トンネル → 暗号化通信 例:SSL通信(https)
  平文→暗号文  暗号化
  暗号文→平文  復号化
 暗号の例 転置式暗号,ポリュビオスの暗号表



3回目:保健医療情報システム(1) 電子カルテについて
 医療情報=電子カルテというイメージが多い カルテの電子化とは?
日本医療情報学会の見解 ・ペーパーレス電子カルテ
  診療録を構成する全ての情報種が電子的
・通常の電子カルテ
  診療録を構成する全ての情報種をカバーしないが、多くの情報種について参照可能なこと
・紙カルテよりも患者への説明が改善されている
・電子保存の3条件(真正性、見読性、保存性)を満足する運用
保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)
・レベル1 部門内において電子化された情報を扱う
・レベル2 部門間をまたがる電子化された情報を扱う
・レベル3 医療機関内の(ほとんどの)患者情報を扱う
・レベル4 複数の医療機関をまたがる患者情報を取り扱う
・レベル5 医療情報及び保健福祉情報も扱う
電子カルテの特徴
・手書き文字からの開放
・情報の共有
・ペーパレスによる人員、スペースの節約
・データの紛失防止、長期保存
・導入費用および維持費用
・データ移行の問題



4回目:保健医療情報システム(2) オーダーエントリーシステムについて
医療情報学会では「オーダーエントリーシステム」だが一般には「オーダーリングシステム」のほうが浸透
電子伝票システムの事・・・狭義のHospital Information System(病院情報システム)
電子カルテとオーダーエントリーシステムの違い
・法的な保存年限なし・記録そのものが目的ではない
オーダーとの連動
・クリニカルパス
・処方チェックシステム


5回目:保健医療情報システム(3) 医用画像システムについて
医用画像の種類
 ・X線一般撮影 「胸部レントゲン」
 ・X線造影検査 「バリウム検査」
 ・X線コンピュータ断層撮影(CT)
 ・核磁気共鳴撮影(MRI)
 ・核医学検査「ガリウムシンチ」 (PET,SPECT他)
 ・超音波(US)「心エコー」
 ・眼底カメラ  等等・・・
電磁波(電波、可視光線、電離放射線)と弾性波(超音波)

・CTの原理・・・X線を利用・・値を推測している・・・数当て?
・MRIの原理・・・電波(ラジオ波)を利用・・・共鳴・・・磁場を利用
PACS
医用画像をデータベースで管理し端末から照会可能とするシステム
規格・・・DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)
画像圧縮・・・可逆圧縮(ファイルサイズ1/2〜1/3)
        非可逆圧縮(ファイルサイズ(1/10〜1/20)
HIS RISとの連携
CAD(Computer Aided Diagnosis)System(診断支援システム)・・・読影効率の上昇


6回目:保健医療情報システム(4) 医療ネットワークシステムについて
病院内のシステム
病院内外のコミュニケーションシステム(遠隔医療)
 形態
 →DtoD(医療関係者間)(医対医)
 →DtoP(医療関係者と患者)(医対患)
 →PtoP(患者同士)
 目的
 →地域格差是正
 →サービス向上
 →医療費の抑制
 →遠隔教育
 →専門医による治療
 →国際医療協力
地域医療ネットワークシステム
 →データ形式
 →セキュリティ
 銀行のオンラインシステムを連想すれば・・・


7回目:医療情報の倫理 医の倫理 情報の倫理 関連法規
倫理とは
 NPO法人 科学技術倫理フォーラム
 http://www.dab.hi-ho.ne.jp/~eng_ethics/colum7.htm
 規範は法と倫理で成り立っている
医の倫理
 WMA医の倫理マニュアル
 http://www.med.or.jp/wma/mem/index.html
 主に医療行為から生じる問題
 WMAジュネーブ宣言
 医師の一人として参加するに際し、
  ・私は、人類への奉仕に自分の人生を捧げることを厳粛に誓う。等・・・
  ・私は、私への信頼のゆえに知り得た患者の秘密を、たとえその死後においても尊重する。
 小阪産病院の倫理規定
 http://www.kosaka.or.jp/img/rinen/Himawari.pdf
情報の倫理
例えば東京大学
http://www.cie.u-tokyo.ac.jp/guidelinepanf.pdf
医療情報担当者の倫理綱領
一般の情報担当者との違い
 ・健康状態に重大な影響を与える
 ・さまざまな意思決定に関わる
 ・法律を超える解釈・・・当事者として
個人情報保護法
・背景→情報に対する認識の移り変わり→ICTの発達など
 刑法134条及び資格法上の守秘義務規定では病院全体をカバーできない
・OECD8原則がベース


8回目:医療統計(T) 医療評価指標について
医療の評価と方法
 医療の「構造」
 医療の「過程」
 医療の「成果」

・病院機能評価→構造・過程
・CI(clinical Indicator)(臨床評価指標)→成果を評価する指標

・利用者のアンケートによる調査・・・オリコンメディカル
指標の計算
平均在院日数・・・2つの求め方


9回目:医療統計(U) 尺度・度数分布・代表値・散布度
尺度
・名義尺度
・順序尺度
・間隔尺度
・比尺度
代表値・・・集団を象徴する一つの数値(もっともな値)
・平均値 いわゆる割り勘
・中央値 昇順(降順)に並べて真ん中
・最頻値 もっとも発生頻度の高い値
散布度・・・集団のバラツキ具合の指標(集団の分布)
・範囲 最大値と最小値の差
・四分位偏差 25%値と75%値の差の半分(50%値=中央値)ブログ参照
・分散 偏差の二乗の平均
・標準偏差 分散の平方根


10回目:医療統計(V) 仮説検定について
検定・・・データがどのような状況か 与えられたデータを対象 → 検証・・・未来予測へ
・パラメトリック検定
 量的変量
・ノンパラメトリック検定
 質的変量
帰無仮説
論理学の背理法に基づく
ある事象を証明するために、その否定を仮定して矛盾が起きることを利用したもの
「A群とB群は差がない」
 仮定が間違っている場合「AとBは差がない」は間違い
 だから「A群とB群は差がある」
   (でも仮説検定は間違える確率付)
検定統計量が出現する確率 p
データで認められるような2グループ間の平均値の差が、偶然生じる確率
 (その(帰無)仮説が起こる確率・・・偶然差が出てしまう確率(必然ではない))
有意水準 α
 帰無仮説が起こる確率を2値(ある・なし)にするための線引き
仮説検定のエラー
・第一種の過誤
 偽陽性 差が無い(陰性)なのに差があるという結果
・第二種の過誤
 偽陰性 差がある(陽性)なのに差が無いという結果


11回目:評価・検査・測定(T) 精度と真度について
精度precisionと真度accuracy(妥当性validity)

誤差
・偶然誤差・・・精度
 偶然発生する誤差・・・確率論 測定回数増やす
・系統誤差・・・妥当性(真度)
 偶然ではない(必然)の誤差・・・バイアス(偏り)の除去
交絡因子
ライターを持つと肺がんになる話


12回目:評価・検査・測定(U) 効果判定について
その介入は意味がある?ない?
・雨ごいの太鼓
・3た主義
・病院に行けば直る


13回目:調査・研究(T) コホート研究とケース・コントロール研究
疫学・・・健康状態とそれに関連する要因の分布を明らかに(頻度の測定)
スノウ・・・コレラ 井戸 コレラ菌の発見の30年前の話
コホート研究・・・古代ローマの軍隊 単位
 疾病の自然史に沿って観察(曝露→疾病)リスク比
症例対照研究・・・疾病の自然史に逆らって観察(疾病→暴露)
 オッズ比